研究室の概要
林を自律的な生態系として研究するだけでなく、人間と森林の関係を重視しながら、豊かな森林の持続的維持に寄与できる知見や技術の獲得と提案を目指しています。樹木をはじめ森林生態系に生息する多様な生物の相互作用がいかに生態系機能を生み出しているのか、また、現在の森林がどのように形成され、急速に変化する地球環境の中で今後どのように変化してゆくのかについて、主として生態学、分子遺伝学の手法を用いて明らかにします。また、森林全体の保全の観点から、天然林や希少種の保全、外来樹木の管理、人工林や放棄森林の活用などについても積極的に関わっています。
研究の詳しい内容は、研究室ホームページhttp://www.fes.es.a.u-tokyo.ac.jp/に掲載されています。
所属教員
- 日浦 勉(教授)Tsutom Hiura
- 齊藤 陽子(准教授)Yoko Saito
- 甲山 哲生(助教)Tetsuo I. Kohyama
- 斉藤 拓也(教授・連携併任、国立環境研究所) Takuya Saito
- 佐藤 永 (准教授・連携併任、海洋研究開発機構) Hisashi Sato
- 森 章 (教授・兼担、先端科学技術センター) Akira S. Mori
これまでの実績
- ブナ、スギなどの主要樹木について様々な機能的地理変異を明らかにし、森林構造や生物間相互作用に及ぼす影響を明らかにしてきた。
- 北海道の針広混交林の動態を100年スケールで解析し、針葉樹と広葉樹の共存機構や気候変動に対する応答を明らかにしてきた。
- ウダイカンバ、ミズナラ、ヤチダモ、クヌギなど多くの樹木の遺伝構造を研究し、構造の形成要因、過去の人為影響などを明らかにし、遺伝的多様性から見た森林管理のあり方を示した。
- 年輪解析と文献調査により、関東周辺の大規模モミ林が、江戸時代の炭焼きと針葉樹保護政策により形成されたことを明らかにし、日本の森林の成立への人為影響を明確に示した。
- インドネシアにおいて放棄プランテーションの活用のための早生樹造林法と育種に関するプロジェクトを実施し、地域社会の安定化に寄与する成果を得た(環境省プロジェクト)。
これからの研究課題
- 主要樹木の形質変異と生態系機能の関係
- 日本の主要な森林タイプの動態と気候変動影響
- 植食者や微生物と植物の相互作用
- 東アジアにおける森林樹木の遺伝構造と分布変遷
- 景観スケールでの樹木の遺伝構造解明による地域森林保全策の提案
- 植物由来の香り成分を介した森林生態系と大気の相互作用