連携講座(連携併任教員)/兼担

連携併任教員

斉藤 拓也(教授)Takuya SAITO

国立研究開発法人 国立環境研究所 / 森圏管理学研究室

揮発性有機化合物(VOC)をキーワードとして、自然生態系や人間社会と大気とのかかわりについて研究しています。VOCは、その一部が森の香りとして知られる化学物質群で、森林では主に植物のストレス対抗手段として生産・放出され、さらに植物―昆虫間のような生物間コミュニケーションにも利用されています。一方で、大気に放出されたVOCは、大気汚染、温暖化、オゾン層破壊をもたらしうるという側面を持っています。私たちは、植物が放出するVOCの化学的多様性の把握、放出パターンの種による違いやその規定要因の解析などを通して、VOCを介した森林―大気相互作用の解明を目指しています。

西廣 淳(教授)Jun NISHIHIRO

国立研究開発法人 国立環境研究所 / 保全生態学研究室

「里山の自然をグリーンインフラとして活用し、気候変動に適応した社会を構築できるか。」これが私たちの研究室の中心的なテーマです。かつては農業を基盤とした社会システムを支えてきた「里山の自然」は、管理放棄や開発により大きく姿を変えています。一方、水害の多発、暑熱による健康被害、湖沼の水質悪化など、気候変動と都市化に伴う環境問題は年々深刻さを増しています。私たちは、樹林、草原、水田・湿地、水路・小河川といった里山の生態系の機能を気候変動適応の視点から評価する研究を行うとともに、自治体や住民の方々と連携した社会実装を進めています。

山道 真人(准教授)Masato YAMAMICHI

大学共同利用機関法人 国立遺伝学研究所 / 保全生態学研究室

進化と生態のフィードバックに注目して、数理モデル解析やプランクトンの培養実験などを用いて研究を行っています。生物は環境の変動に対応して、柔軟に表現型を変化させていきます。そのような環境への迅速な適応が、個体数の減少や絶滅を防ぐことも起こり得ます。迅速な進化や表現型可塑性といった形質の変化が個体数変動・群集構造などの生態学的プロセスに影響を及ぼし、生態学的プロセスが適応度を変化させて迅速な進化に影響するため、進化と生態の間には複雑なフィードバックが働くことになります。さらに、人間社会における協力行動と生態学的プロセスの間に生じたフィードバックが「共有地の悲劇」を起こすこともあります。直感で理解することが難しい複雑なフィードバック動態を、集団・量的遺伝学、個体群・群集生態学、進化ゲーム理論などの数理モデルと実験を用いて調べることによって、生物多様性の包括的な理解を目指しています。

松崎 慎一郎(准教授)Shinichiro MATSUZAKI

国立研究開発法人 国立環境研究所 / 水域保全学研究室

湖や川を中心とした陸水環境をフィールドとして、人間活動と陸水生態系の関わりについて研究を行っています。環境問題の解決には、「あちら立てればこちらが立たぬ」という問題が常につきまといます。そのためには、俯瞰的な視野で問題を捉え、生物と生物の関係(例:魚と水草)、生物と環境の関係(例:魚と水温)、人間活動と環境の関係(例:農業と水質)など、複雑な相互関係を定量的に解き明かしていくことが大切だと考えています。具体的には、長期モニタリング、高頻度観測、操作実験、安定同位体分析等を通じて、湖沼・河川の生物間相互作用・物質循環の解明、保全・管理に結びつく研究を目指しています。最近では、湖沼生態系の変化をどうやったら事前に予測できるか、について考えています。

亘 悠哉(准教授)Yuya WATARI

国立研究開発法人 森林総合研究所 / 生物多様性科学研究室

山北 剛久(准教授)Takehisa YAMAKITA

国立研究開発法人 海洋研究開発機構 / 水域保全学研究室

「海洋空間生態学」として、流域や沿岸から深海までの生態系変動把握と人間社会とのかかわりを研究しています。生態系変動については、沿岸では藻場・干潟を中心にリモートセンシングと現地調査を融合させ、陸域要因もふくめたスケール横断的な検討をしています。深海では探査ロボット(ROV)や自動航行ロボット(AUV)の映像を用い、近年は新たに保護区になった海山を調べています。これらの解析には深層学習などの画像解析も用います。また、生態系と人の関わりについては、生物多様性条約の目標でもある、重要海域選定と保護区の適地検討、人類の福利である「生態系サービス・自然のもたらすもの」の全国評価を行っています。そのためにGISなどを活用し、生物分布推定、気候変動や社会のシナリオ分析をくみ合わせた検討をおこなっています。これらを通じて、主に海からの目線で人類を含めた地球の生物圏の空間動態の解明とありかたの提案を目指します。

佐藤 永(准教授)Hisashi SATO

国立研究開発法人 海洋研究開発機構 / 森圏管理学研究室

現在進行している急速な気候変化の下における、植生帯の構造や地理分布の変化、それに伴う炭素や水循環の変動予測を行うシミュレーターの構築に取り組んでいます。このようなシミュレーターは、分単位の事象(光合成や蒸散など)、日単位の事象(展葉や落葉など)、そして数十~千年単位の事象(植生帯分布や土壌炭素含量の変化など)まで、様々な時間スケールの事象を統合的に扱う必要があります。また、個木間の事象(木々の間の競争など)、集水域内の事象(土壌水の水平移動など)、そして大陸~全球スケールの事象(植生帯分布変化など)まで、様々な地理スケールで生じる事象も統合的に扱わなければなりません。幅広い分野の研究者と共に、このような時空間スケール間のギャップの克服に取り組んでいます。また、このシミュレーターをベースとして、我が国の森林の保全・形成・利用に資する技術の開発を目指しています。

兼担

森 章(教授)Akira S MORI

東京大学先端科学技術センター