附属演習林

附属演習林には、北海道から愛知県にかけて7箇所の地方演習林があり、それぞれの森林を活かした研究を行っています。亜寒帯に位置する北海道演習林では、天然林資源の持続的利用と環境保全の両立を目指した研究を、暖温帯に位置する千葉演習林と樹芸研究所では、人工林や広葉樹二次林における環境保全的な森林の取り扱い、野生生物の管理および植物機能の高度利用を目指した研究を、冷温帯に位置する秩父演習林と富士癒しの森研究所では、森林生態系の動態などの森林情報の収集発信の高度化およびレクリエーション等の森林利用に関する研究を、都市( 近郊)に位置する生態水文学研究所と田無演習林では、水循環や気象の緩和、大気浄化、環境教育などの森林の多面的機能の解析的研究を、それぞれ実施しています。演習林には以下の4研究室が設置されており、それぞれの研究課題に応じて7箇所の演習林を活用した研究が進められています。

詳細は、演習林ホームページhttps://www.uf.a.u-tokyo.ac.jp/を参照してください。

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森林圏生態学研究室

研究室の概要

森林生物の個体、集団レベルの生命現象を主な研究対象とする。森林に生活する生物種の生活史、個体群動態、群集構造、種間関係、生物間相互作用などを広大な演習林のフィールドを駆使して探求し、その結果から生物多様性の維持、野生生物の適切な管理手法など個別技術を提案するとともに、森林生態系全体の持続的維持のために必要な、生態学的管理の具体的手法とその評価手法を構築する。

所属教員

  • 鎌田 直人(教授)Naoto Kamata
  • 後藤 晋(准教授)Susumu Gotoh
  • 平尾 聡秀(講師)Toshihide Hirao
  • 福井 大(講師)Dai Fukui
  • 前原 忠(助教)Tadashi Maehara
  • 久本 洋子(助教)Yoko Hisamoto

これまでの実績

  • 秩父山地にみられる主要な天然林の動態および更新機構に関する研究
  • 森林施業が樹木個体群の更新過程に及ぼす影響の評価
  • 北方針広混交林地帯に生育する樹木の遺伝子流動に関する研究
  • 異質な環境に分布する樹木個体群の局所適応の実態解明
  • ブナの葉食性昆虫ブナアオシャチホコの周期的大発生と個体群動態の解明
  • ナラ類の枯損に関係するカシノナガキクイムシの起源と合成フェロモンの研究

これからの研究課題

  • 長期生態系観測プロットにおける天然林の動態解明
  • 天然林主要構成樹種の更新特性と阻害要因の解明
  • 樹木個体群における局所適応メカニズムの解明
  • 天然および人為的な攪乱に対する森林の再生修復機構
  • 異質な環境下における樹木種の遺伝適応の実態把握
  • 森林昆虫・動物の個体群動態と生物間相互作用
  • 森林における野生動物や害虫の管理
  • 種の多様性の決定機構

研究室紹介動画

森林生物機能学研究室

研究室の概要

森林生物の生命現象を主な研究対象とし、特に生物機能面からその探求を行う。多様なフィールド環境において、様々な生物的・非生物的要因に対して発現する生物機能を、個体、器官、組織、細胞、遺伝子、分子といった様々なレベルで構造と機能の両面から解析し、そのメカニズムを明らかにするとともに、得られた知見を森林の保護、再生、持続的管理、利用等に活用することを目標とする。このために、樹木と微生物、特に病原菌との相互作用、樹木の環境ストレス耐性、森林遺伝子資源の利活用、等の課題に取り組んでいる。

所属教員

  • 山田 利博(教授)Toshihiro Yamada
  • 鴨田 重裕(准教授)Shigehiro Kamoda
  • 楠本 大(講師)Dai Kusumoto
  • 坂上 大翼(助教)Daisuke Sakaue
  • 井上 広喜(助教)Hiroki Inoue
  • 竹本 周平(助教)Shuhei Takemoto

これまでの実績

  • シカが樹皮を食害する際の選択因子の解明
  • ブナ科樹木萎凋病(ナラ枯れ)に対する抵抗性機構とその樹種間差解明
  • 都市樹林地における根株腐朽病菌ナラタケモドキの生態と病原性の解明
  • マツノザイセンチュウ個体群の遺伝構造解析に基づく伝播・増殖様式の推定
  • 防御組織形成の制御とストレス応答に関わる植物ホルモンの相互作用との関係解明
  • マツ枯れ抵抗性マツの抵抗性機構解明によるマツ林保全
  • 北方針葉樹の苗畑病害防除法開発

これからの研究課題

  • 林床での実生更新が困難な樹木の更新阻害要因の解明と二次代謝制御による更新促進技術の開発
  • 抵抗性誘導を利用した新たな病虫害防除法の検討
  • 苗畑病害の発生生態解明による主要北方針葉樹種育苗システムの改良
  • 鉱山跡荒廃地の植生回復過程におけるVA菌根の役割と在来微生物を利用した緑化技術の開発
  • 北方天然林における生立木腐朽被害の実態評価と天然林経営システムの病理学的検討
  • 環境ストレスや樹勢が病傷害に対する樹木の防御反応へ及ぼす影響を解明することで森林、樹木の管理に役立てる
  • 生立木の腐朽病害における病原機構および病原性の生態的機能の解明

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森林圏生態社会学研究室

研究室の概要

森林生態系から人間社会までを一つの系として捉え、社会に資する森林を維持・管理していくために必要な情報を実際のフィールドから収集し分析する。森林内での情報の収集や情報伝達に関わる技術の開発を行うだけでなく、社会制度への応用や経済的効果についても検討し、総合的に森林生態系と人間社会との関わりを探求する。

所属教員

  • 小林 博樹(教授)Hiroki Kobayashi
  • 安村 直樹(准教授)Naoki Yasumura
  • 徳永 友花(特任准教授)Yuka Tokunaga
  • 齋藤 暖生(講師)Haruo Saito
  • 藤原 章雄(助教)Akio Fujiwara
  • 饗庭 正寛(特任助教)Masahiro Aiba

これまでの実績

  • 森林環境教育におけるVR教材の利用可能性の検討
  • サリグナ種ユーカリ造林による林業経営の可能性 ~樹芸研究所10年生林分の分析から~
  • 岐阜県銘木市場における買い方の落札行動に影響を与える要因の解明
  • 森林のリラクゼーション効果を考慮した森林管理のあり方
  • 「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の効果と問題点
  • 野生動物装着センサを用いたIoT基盤の研究
  • 福島県浪江町の帰還困難区域内のサウンドスケープの研究

これからの研究課題

  • 自然を活用した解決策(NbS)としての炭素蓄積に関する環境価値の定量化
  • 建築物の改修に伴う木材による炭素固定のLCA評価
  • 森林の炭素蓄積推定手法の精緻化とその結果の公開システムの構築
  • 森林の多面的生態系サービスの高い空間解像度での定量化
  • 自然アクセス制の実態と課題
  • 森林資源を利用した伝統技術・技能の持続可能性
  • Audio-IoTによる福島県浪江町の帰還困難区域内の有害鳥獣対策の研究
  • 次世代森林情報基盤サイバーフォレストに関する研究
  • 住宅の温熱環境と木質材料の関連

森林流域管理学研究室

研究室の概要

森林資源の持続的な管理、森林における水循環、森林・水・人間の関係を主な研究対象としている。利用可能な森林資源・水資源の量や利用状況の変化を明らかにし、森林資源・水資源・陸域生態系を調和的に管理・育成・保全する手法の確立と社会実装を目指している。

所属教員

  • 蔵治 光一郎(教授)Koichiro Kuraji
  • 尾張 敏章(准教授)Toshiaki Owari
  • 浅野 友子(講師)Yuko Asano
  • 田中 延亮(講師)Nobuaki Tanaka
  • 水内 佑輔(助教)Yusuke Mizuuchi
  • 三浦 直子(助教)Naoko Miura
  • Moein Farahnak(特任助教)

これまでの実績

  • 北海道演習林をフィールドとした森林空間情報の管理と利用
  • 山地流域の降雨ー流出特性とそのしくみの解明これからの研究課題
  • 地理情報システムを利用した森林資源管理計画の策定
  • 病虫害による樹木の大量枯死が流域の蒸発散量に与える影響
  • 地上型レーザスキャニングを利用した山地河川の水面下河床地形計測
  • 森林風景計画の展開の解明
  • 放棄ヒノキ人工林における土壌侵食の発生メカニズムの解析
  • 気候変動と土地利用変化が洪水流量に及ぼす影響の予測

これからの研究課題

  • 長期大面積の森林空間情報に基づく持続的森林管理システムの構築
  • 情報技術や人工知能を活用したスマート林業
  • 枯死木の分解が森林の炭素循環に与える影響
  • 空間情報技術を活用した森林風景体験の解明
  • 人工林の間伐が降雨-流出特性及び土壌侵食に与える影響の定量的評価
  • 山地河川における豪雨時の流出現象の実態解明
  • UAVリモートセンシングを用いたカヤネズミの営巣場所を決定する環境要因の解明
  • 流域治水における森林の役割と社会実装

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